コツ、コツと言う靴音が朗々と廊下に木霊する。
かみ締めるように、ゆっくりと、一歩一歩、歩みを踏んでいく。

男はだらしなくゆがませた口元で笑みを作っている。

ぐふ、と、喉でたまるような声を上げる。
本人は笑っているつもりだが、そうはとても見えない。

目には火が燈る。

それは




蝋燭のような 火。

映すのは、AKUMA。










I want it that way
#19 開扉












「できたわよーん」
「ありがとうございます。」
声に椅子に座ってお茶をすすっていたはカウンターに駆け寄った。

「おかゆだから、お腹にもばっちりよ!さ、もって行って」
ずいと出されたお盆の上にはおなべ。
それに木のスプーンと、とり皿、それから小さいスプーンまでちゃんとついていた。

「お水はあったわよね?」
問いかけに、はラビの傍らの水を思い出した。

確かにあるが、きっと足りなくなるだろう

「あとでまた取りに伺います」
「じゃあ届けてあげるわよ!ラビちゃんの顔も見たいし」
元気になったラビちゃんをね、とジェリーはウィンクする。

は自然に顔がほころぶのを感じた。
「きっとラビも喜びます」
そう言ってお盆を手に取ると、すっと歩き出す。

こぼさないように、でも、できるだけ早く。

ラビの場所へ。








?!」
リーバーは扉をたたいた。

!」
ドンドンと叩くも、中からは何の反応もない。
リーバーは顔を青くさせ、後ろにいるコムイを振り返った。

「・・・室長」
同じく神妙な顔で冷たい汗をたらしているコムイは頷く。


嫌な予感が頭をよぎる・・・


それを振り払うように、コムイとリーバーは息を合わせて扉を蹴った。
扉は金具の折れる音と、地面に倒れる音と共に開いた。

暗い部屋に人の気配は、ない。


「っ!?!」
君?!」
先ほどの嫌な予感が的中したのかと、信じたくない思いで部屋を入念に見回す。

が、

「・・・いない」
「・・・そうっすね」
多少の安堵はあるものの、まだ気は抜けない。
を保護しなければ・・・。


「ここにいないということは・・・後は・・・」
「・・・・談話室?」
「・・・いやラビ君だ。・・病室!」
そう叫んでコムイは部屋を飛び出した。
リーバーも扉をひょいと乗り越え、それを追いかけた。









!」
息を切らせて扉を開け放つ。

中は明りはあるものの、静まり返っていた。
「え・・・?・・?」
リナリーは自室に入ると、ぐるりと見回した。


確かにはいたのに。
お化粧をして、ベージュの服を着て、嬉しそうに


ここにいた。

「・・・っ!」
叫んでみるも、パウダールームからもどこからも声はない。

「どこ・・・?」

不安になる。

怖い どうしようもなく 怖い



はどこに行ったの・・・?


その時、テーブルの上の紙が目に入った。
の字。

手にとって、すばやく目を走らせる。


「・・病室?」

よかった。病室なら、ディアドロは多分思いつかない。





本当に?



不安になる。

怖い どうしようもなく 怖い


「・・・を迎えに行かなくちゃ」
リナリーはまたも走り出した。

大丈夫、大丈夫だから


自分に何とか言い聞かせ、平静を戻そうとする。
しかし、その足が早さを緩めることはなかった。











ベッドに身を沈め、ボーっとしていたラビの耳に、静寂を破る音がした。
扉を叩く音だった。

半分閉じていたまぶたをぱちっと開け、首だけで扉を見た。

「・・・はーい」

さ?


「じゃ、ラビ、また後で」


と、ご飯

なんて素敵な組み合わせだろうと、ラビは顔をほころばせた。


そして扉は開かれた。





















皆が走り回っていて書いているだけで目が回りそうです。

皆一点へ向かいます。


けい

06,01,05