その後、私は授業に出ず、屋上に行って一人、泣いた。
・・・・・わけではなく、チャイムが鳴る頃には理科室の自分の席にきちんと座っていた。








+Give me!+















ショックがなかったわけではないと思う。
なのに、私は漫画のヒロインみたいに泣きながらどこかへ走り去ることもせず、ここにいる。
ただあの光景と私のカップケーキをばっさりと拒否した真田の言葉が延々と頭の中を往復するだけ。

理科室へ向かうすがら、なにも知らない友人が昨日のお笑いの話をした時もちゃんと笑ったし、今だって先生が「ここ大事だぞー」と言ったところにきっちりラインマーカーを入れている。
涙なんてもちろんでない。


好きな人が女の子からプレゼントをもらっているのを見た恋する乙女の行動とは思えない。
私、本当は真田のこと好きじゃないのかな。思いこんでただけなのかな。


あぁ、でも。

なんか、胸がすーすーする。
いや、すかすかかな?

まるでそこに白い空虚な空間でも出来たような感覚。

頭もなんかすかすかする。
先生の言葉をちゃんと聞いて処理しているのに。



ルーズリーフがもうない。
カップケーキも、もうない。



















が見ているのは知っていた。
だからこそ受け取ったのだ。
今考えれば、なんと幼稚な行動にでたものか。


「もらってください」

知らない女子だった。
差し出されたそれを、普段の俺なら受け取らん。

だが普段と違う行動にでたのはあれを見たからだ。
が幸村に調理実習の品を渡しているのを。

きれいに包装されたそれは適当に用意されたようには見えなかった。
そう、特別なもの。


幸村にやるのか。


思わずルーズリーフを落としてしまった自分が恨めしかった。

俺がを見ると、あいつは目線をそらしてそそくさと俺から離れた。
邪魔をしてしまった、か。

自分がそういった対象に見られていないどころかただの邪魔にしかならないことが悲壮感を与えた。
そして同時に苛立ちを覚えた。
からかうような幸村の視線と言動にも。

口をついてでたのは心と正反対の「いらん」と言う言葉。

に悪いことをしてしまったのだろうか。
今更ながら心配になる。
いや、気にもしていないだろう。

よしんばが幸村のことを好いていないとしても、何人もいる知り合いの男の中から幸村を選んだ、と言うことは俺はそれ以下でしかないのだ。

だから、誤解してほしかった。
俺にだってもらう相手ぐらいいる。
そう言いたかった。

今俺の鞄の中には薄い水色の包装紙に包まれた先ほどのものが入っている。
リボンの色は桃色。
あいつの渡していた品のリボンは深緑色。
どれだけ眺めても桃色が深緑色になるはずもなく。

授業に集中せんとは、たるんどる。

気を引き締めようとシャープペンシルを握りしめると、ボギッと音を立てて折れた。
周りの者が驚いた顔でこちらを見る。

「すまない」

小さく謝罪し、俺は折れて使い物にならなくなったそれを隅にやった。
筆箱から新しいシャープペンシルを取り出すと、深緑色だった。

違う色はないものかと筆箱を探るが、あいにくそれしかない。
結局その時間どころか6時間目の授業にも集中できず、嫌われただろうか、やはり幸村が好きなのだろうか、などと悶々と考えているうちに放課後になってしまった。




















早くドリライのDVDが見たいです。
風林火山!!



けい

08,06,22