「ただいまー」

誰も居ない家。
返事が聞こえるわけ無いと知りつつも、いつもの癖ではそう声を上げた。







+School Days+

#9 本日終了









ぱちり、ととりあえずテレビを付けた。
干してあった洗濯物をとりこんで、制服からルームウェアに着替えると洗濯物をたたむ。
それを箪笥にしまいこんでお風呂を沸かし、今日の晩御飯作り。

まったく料理の出来ないだったが、この二ヶ月の強制特訓のおかげか、だいぶましになってきた。

今日は帰りに買ってきたそら豆とバジル。
それから平たいパスタ麺をつかって、『そら豆とバジルのクリームパスタ』。
サラダと、市販のポタージュ、それから昨日焼いたチーズケーキを添えればなかなか豪華だ。

今日は入学式だから、少し贅沢に。

パスタは自分が作ったせいもあるだろうが、おいしく感じた。
焼いたチーズケーキも、少し香ばしい(焼きすぎた)気がするが、まぁ今まで自分が焼いた中では上出来だろう。

テレビの音を横に、食事の終わったは一息ついた。
ぐいとお茶を飲んで、しばらくソファでごろごろとオレン○ページを読みふける。
テレビでお笑いがやっているのか、しきりにワハハ、と言う笑い声が聞える。


オレン○ページの最後をめくり、ふと時計を見るともう8時。
よいしょっと起き上がると、椅子に引っ掛けてあったエプロンを頭からかぶって身に付ける。
蛇口の取っ手を引き上げ、スポンジに洗剤を付けたところでタイミング悪く電話が鳴った。

「・・・・あーもう!」

スポンジまみれの手をさっと洗い、は電話まで小走りした。

「はい。です」

?』

「お母さん!」
『あら、もう日本語だいぶ慣れたみたいね』
「そりゃ二ヶ月も居たら…ってか大体四年生まで居たじゃん、こっちに」
『あぁ、そうだったっけ』
「忘れたとかひどくない?」
『ごめんなさいごめんなさい。あ、そうだ、入学おめでとう』
「あぁ、うん。何かくれるの?」
『現金な子。誰に似たのかしら』
「おばあちゃん」
『馬鹿。あぁ、じゃあ来月の仕送り、ちょっと割増にしといてあげるわ。あとこっちからの食料品、明後日ぐらいに届くんじゃないかしら』
「まじ?やった!!」
『無駄使いするんじゃないわよ』
「了解了解。そうだ、お父さん、元気?」
『疲れて寝てるわ』
「ほどほどにねって伝えて」
『はいはい』
「でもしっかり稼いでね、とも」
『あんた鬼?あの人、あんたにそう言われたら本当に馬車馬の如く働くわよ』
「あはは!冗談冗談。」
『健康に気を付けて、早く寝るのよ?』
「はーい」
『家の戸締りはきちんとして、変な場所に行かないようにね』
「分かってるって」
『学校、どう?』
「まだ入学式だってば」
『でも、あるじゃない。学校の雰囲気とか、先生はどうだとか』
「早々遅刻した」
『あっはは!あんたは何かやると母さん信じてたわ!』
「信じないでよ、そんなこと」
『だってあんただもん』
「なにそれ」
『で?他には?』
「生徒会室で泣かされた」
『あ、そうだ、今年の生徒会長って美形ねー!』
「泣かされた方はスルー?」
『涙なんて水飲めばまた出てくるわよ。気にしない気にしない。それより、生徒会室入ったってことはあの会長見たの?』
「だって会長に泣かされたんだもん」
『あら、入って早々目つけられたの?』
「うん。でも、何か勘違いだったらしくて。謝られた」
『がんばるのよ!』
「は?」
『謝られたって言うことは、少なからず会長はに申し訳無いと思ってるわ!』
「だから?」
『そこをつくのよっ!!ついてついてつきまくって、美形を我が家の婿に!』
「切るよ」
『あ、待って待って!冗談冗談。あ、そうだ』
「何?」
『今そっち何時?』
「・・・・・知らないで電話かけたの?」
『もちろん』
「・・・・・・・・・お休み」
『もうそんな時間なの?今度から気を付けるわ。また電話するから。じゃね』


ぷつっと音がなった。
は受話器を置くと、受話器のコードの螺旋がぐちゃぐちゃになっている事に気が付いた。
無意識にいじっていたらしい。

戻そうとちょっといじくると、すぐに元の綺麗な螺旋に戻った。

「よし」

そう一人つぶやいて、はまたパタパタとキッチンに戻る。
皿を洗いながら考えた。

美形、か

確かにかっこ良かったなぁと思いつつ、キッチン脇のモニターのお風呂の欄が点滅していることに気がついた。
お風呂を忘れてた。
追い炊きのボタンを押して、今度は今日の入浴剤のことを考える。
先日薬局で見つけた代物だ。
日本全国の温泉が一箱に入っており、20%引きということもあっては迷わず籠に入れた。

・・・・・今日は草津!

そう決めて蛇口を閉める。
エプロンを放ると、はいそいそとお風呂へ向かった。











か、神田が出てこない・・・!
空豆とバジルのクリームパスタは私がオレンジページで見つけて食べたいと思ったのです。
誰か作って!!(オレンジページ買うのに作らない人)


けい

06,05,07(08,04,02改)