安心した、広い胸の中。

自分では気付かなかったけれど、やっぱり怖かったんだ。

でも、たぶん、それだけじゃない。

この大きな体が、強い鼓動がこんなにも心地よくて、そして少し気恥ずかしいのは、それだけじゃないと思う。


もう認めざるを得ないのかな。



――――ユウが好きって

















+cat poison+




























少し落ち着いてきたのか、嗚咽が収まったの背中を、なでていた神田の手がポンポンと軽くたたいた。
それに呼応するように、が顔をあげる。

黒いオニキスの眼とかち合った瞬間、気恥ずかしさからまた神田の肩口に頭をそらしてしまう。

「・・・大丈夫か?」
「う、うん、ご、ごめんね。なんか急いでるのにとりみだしちゃって、ほんと」

顔の横で言うの後頭部を、神田の左手が軽く抑えた。
ぐっと抱きしめられ、が小さく悲鳴を上げる。

「いい。俺も、頭に血ぃ上った」
「え?」
「おまえが、あいつの下になって、あいつがお前に触ってるの見た瞬間、頭がかってなった」

取り乱したのは、俺の方だ、と神田が言う。
そしてはっとしたように体を離した。
離れてしまったぬくもりが、神田が恋しくて、は無意識に神田のシャツをつかんだ。
神田は苦笑して、やんわりとそれをはがす。

「・・・俺のこと、嫌いでいい。嫌いでもいいから、他の男に触らせんな。・・・俺はもう、さわらねぇから」
「・・・嫌いじゃ、ない、よ?」
「は?」

思わず、といったように神田が素っ頓狂な声を上げる。
は羞恥心にまみれながらも、神田の首に腕を回し、ボフ、と抱きついた。
顔は見たくない。見れない。

「・・・・・・・・・・・・・たぶん・・好き」

ぽそり、と耳元で呟かれた声に、神田は唖然とした。

「ごめん、気づくの遅くて。でも私、ユウが好きだと思う」
「・・・」
「・・・あ、いや、好き、です」
「・・・」
「・・・何か言ってよ。恥ずかしいんだか」

言い終わる前に神田がの体を乱暴にひきはがした。
なんだなんだと思っている間に神田の唇がのそれを塞ぐ。

「ん・・」
「好きだ」

唇を数ミリ離した神田がそうささやいて、またの唇を奪う。

ただ重ねるだけの、正真正銘の口付け。
緩く、神田がの唇をはむ。
初めこそ驚いていたものの、もそれに答えるようにぎこちなく軽く頭を傾けた。

神田の唇が動きを変える。
ただ押しつけるだけ。
なのに、こんなに気持ちよくて、幸せなのはきっと相手が神田だから、好きな人だから。
やっぱり私は神田が好きなんだとは再確認して、神田の体に全身を預けた。

そのまま二人はベッドに沈んでいく。
二つの影が、重なった。




































「ちょっと、まて、まて」
「・・・何だよ」

不機嫌そうな神田の胸を、はぐいぐいと押した。

「なんだよじゃないでしょ?!」
「黙ってろ」
「ひゃっ!!てちょっとどこ触ってんの!!!」
「触ってねぇ。舐めてんだ」
「馬鹿!今すぐどいて!」

暴れるに、神田がしかたなく上半身を上げた。
それに合わせても起き上がると、神田の下敷きになったままの下半身と共にのそのそと這い出る。

「お前!好きだって言ったじゃねぇか!」
「だからってこんなところでこんな時にするわけ?!」
「あぁ?!」
「そこにシーナさんは転がってるし、大体任務中だし!!」

びしっと指さす方にはシーナが転がっている。
それを見てしばらく考えていた神田は口元をにやりとはね上げた。

「・・・いいぜ。任務終わらせて邪魔ものがだれもいないところでなら、いいんだな?」
「はい?」
「おら、さっさと服整えろ。任務終わらせんぞ」
「・・・フットワーク軽いわね。」
「さっさとお前を抱きたい」
「っ!馬鹿!バカンダ!破廉恥!嫌い!」
「顔真っ赤にしながら言われても、説得力ねぇな」
「・・・っ!!!・・・っていうかあんたいつの間に戻ったのよ」
「歩きながら話す」














すごいいちゃこらさせたかったんです。



けい

08,07,22