やりきれない
突然のの拒否
感情の赴くままに飛びだしたものの
ここで二手にわかれていては駄目だろう、と戻ってきてみれば、これだ
何故が
知らない男と
+cat poison+
突然飛びこんできた猫。
とシーナの間に立ち、毛を逆立ててシーナを睨む。
今にも飛びかかりそうな体勢で、軽く牙を覗かせている、それは。
「ユ、ユウ!」
を守るようにして立っているのは間違い無く神田だった。
シーナがその綺麗な眉を潜める。
「この猫は…?」
「す、すみません!私のです!」
はグラスを放りだして慌てて神田を抱き上げた。
が、神田は暴れる。
シーナに一発くれてやらないときがすまない、と言うかのように。
しかしそんなことさせるわけにはいかない。
はこの3ヶ月で培われた猫の対処法をもとに何とか神田を抑えこんだ。
「本当にごめんなさい!あのお怪我とか・・・?」
「いえ、大丈夫ですよ」
シーナは先ほどの表情が嘘かのように笑んだ。
そして猫を危惧してか、ある程度の距離をとってに歩み寄る。
「ところで、今日はこちらのお屋敷にお泊りに?」
「え、えぇまぁ・・・」
先ほどこの館の主人に夜伽に呼ばれました!とはいえず、は笑ってごまかす。
すると、シーナは不意にの手を取った。
「では、また後ほど」
包むようにぎゅっと握って、シーナは優雅な身のこなしで館のほうへ歩んで行く。
二つのグラスを手に持って。
「・・・・おい。降ろせ」
「あの人追いかけてって攻撃しない、暴れないっていうんなら降ろしてあげる。」
「・・・・・降ろせ」
この返事は、しない、と神田が言ったのと同じ。
は腰をかがめる。
神田は緩んだの手から抜け出し、地面にトンと降り立った。
そして迷うように一回転すると、ベンチの上に飛び乗った。
もそれに習い、またベンチに腰を下ろす。
気まずい空気が流れた。
何しろ、よく考えてみると二人は喧嘩別れしたのだ。
それもの突然の気持ちの変化のせいで。
(ここは謝るべき・・・?)
自分の対応が、神田を怒らせた。
よく分かっている。
分かっているけれど・・・。
何も言えず、結局口閉ざしたままの。
その中で、突然沈黙を破ったのは神田だった。
「・・・お前、さっき何してた」
「さっき?」
「あの変態野郎と引っ付いてただろうが」
「え・・?あ、あぁ、あれは・・」
そこまで言ってはつまった。
なんと言えば良いのだろう。
喋ってたら突然あっちが顔を近づけてきたのだが・・・。
「・・・邪魔したか?」
揶揄するように神田が笑った。
その口調は、いかにもからかう様な、馬鹿にするようなもの。
「ち、違っ」
「は!ゴードン卿の前菜にあの男かよ?あ?」
鼻で笑って神田が吐き出すように怒鳴る。
その言葉は、とてもひどくを殴った。
(前菜・・?!)
「ちょっと!それどういうことよ!まるで私が男好きみたいに!」
「事実そうだろうが!じゃなけりゃいくら任務だからってあんな申し出受けるかよ!」
「仕方ないじゃない!ああする以外方法は」
「考えりゃいくらでもあるだろうが!」
「あれが一番手っ取り早いじゃない!」
「お前には女って自覚ないのかよ!」
「あるわよ!っていうか神田には関係ないでしょ!」
「今回はパートナーだ!!」
「じゃあ早く任務終了するんだからいいじゃない!」
「よくねぇ!」
「なんで!」
「お前が好きだからだ!!!」
        
言っちゃった、神田君。
けい
06,12,22 |