「神田は私のこと、好き?」
「あ?」
3.君の気持ちが知りたくて
「ねぇ、好き?」
はベッドに寝転がり、ベッドの下に座っている神田の肩をゆするも、
「あぁ」
帰ってきたのは先ほどと語尾の違う言葉だけ。
神田はまたぺらりと本のページを繰る。
その長い指の動きに一瞬どきりとしながらも、はなおも尋ねる。
「・・・じゃあ好きって言ってよ」
「・・・いやだ」
「なんで?」
神田が振り返る。
「何で言わなきゃならねぇんだよ。ちゃんと『あぁ』って言っただろうが」
「いや!ちゃんと言ってよ!聞いたことないんだもん」
「また今度な」
そういって神田はまた本を見つめる。
恋人が一緒にいるって言うのに
本ばっかり
好きだって一度も言ってくれないし
はなんだかふつふつと怒りが湧き上がってくるのを感じた。
「・・・・神田なんか本を恋人にしたら良い!もう知らない!」
怒鳴ってベッドから降りようとしたとき、腕をつかまれて引っ張られた。
「うわっ!」
神田の胡座(あぐら)の上に上向けに落ちてしまった。
神田が真上から覗き込んでくる。
切れ長の目は綺麗で、見つめられるだけで恥ずかしくてどきどきする。
その上
「どこへ行く?」
低めの声で、つぶやくように言われてはもう駄目になりそうだった。
神田は口の端を上げてにやにやしている。
絶対こいつ、確信犯だ・・・
この体制で、こう言われて、がもうどうしようもなくなるのを知っててやっているに違いない。
「・・・神田には関係ない」
ぷいと目線をそらしてそういうと、神田はが見せた頬にチュッと口付けをした。
「ひゃっ!」
予想外の展開にが思わず声を上げると、神田は喉の奥で笑う。
(ま、また人で遊んで・・・!)
「っ!!もういい!!!」
じたばたと暴れて起き上がると、また神田に手を引っ張られた。
倒れこみそうな直前で腰を掴むと、神田はぎゅうっと抱きしめた。
神田の肩の上に顔が来る形になる。
ふわり、と神田の、の大好きな匂いがする。
「やだっ!」
逃げようともがくが、神田がの背にしっかり手を回していて、それもかなわない。
「どうすりゃいいんだよ・・・」
神田の呟きが耳元で聞こえる。
顔を真っ赤にしながら、は自分の要求を口にした。
「・・一緒にいる時に、本を読まないで」
「分かった」
「あと・・・好きって言って」
「・・・・・まだ言ってんのかよ」
「言って」
先ほどより強く言うと、神田は押し黙った。
「す・・・好きだ・・・」
嬉しくて、は神田にすり寄る。と、ふいに耳に熱を感じた。
自分の耳が赤いのは承知。だが、そうではなく、違う熱を感じる。
「ん?」
顔を上げてみると、神田の耳が真っ赤だった。
神田はの肩口に顔をうずめて動かない。
が、さらさらの髪の隙間にある顔もやはり真っ赤で。
「あはっ!あははははははははは!!!」
は嬉しくておかしくてつい笑いだしてしまった。
「っ!てめぇ!」
「や!ごめん!でもだって嬉しくて!」
神田はあまり感情表現してくれないが故。
それも好きと言った事で真っ赤になったが故。
「私も大好き!」
笑いながらそういうと、神田はばつが悪そうな顔をして、また顔が見えないようにするためか、ぎゅうっとを抱きしめた。
[END]
神田が攻めで可愛い(笑)
神田はきっと口で言うのが下手だろうなぁ、それで突然キスとか抱きしめたりとか公衆の面前でしてヒロインちゃんに怒られるんだろうなぁ。
あ、でも自分が不意打ちでされたりすると弱いだろうなぁ。とか色々考えながら書いてました。
けい
05,08,26 |